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ゴールデンカムイ フレグランス 二階堂浩平
残された半身に復讐心を宿して 危うい刺激のクリーミーポイズンノート
どこか薬めいた異質な空気が忍び寄る、スパイスの刺激がちらつく柑橘。 Bergamot, Lime Jasmine, Lavender, Basil, Rosemary Musk, Amber, Vanilla, Coconut
商品サイズ:86mm×55mm×29mm この商品のレビュー
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空間に一吹きした時はココナッツとバニラがふわっと優しく香り、思ったより普通だなといった感想を抱いたのですが、肌につけてみると全く違った印象になります。
つけた直後、柑橘の果皮と湿布薬の香りがアルコールの揮発に乗って鼻にガツンと直撃します。 これは強烈…と思うのですが奥の方にココナッツとバニラの甘い香りがするので嫌な香りとはならない不思議。 暫くするとトゲトゲ感が引いてきてフローラル系の香りが顔を出し、最後はパウダリー+ケミカル+微かな果皮の香りがじんわり続くといった香りの移り変わりをします。 つけ始めから終わりまで一貫してバニラ+ココナッツ+湿布薬の香りが強→弱と変化しながら続くのですが、これがつい何度も嗅いでしまいたくなるような癖になる香りです。まさにモルヒネ。 この香水をつけて布団にくるまって寝たが最後、二階堂兄弟に両脇をガッチリロックされる幻覚を見て起きられなくなりそうです。 キャラクター香水というものを購入したことがなく、普段使う香水もユニセックス系の落ち着いた物ばかりなので自分に合うか博打だったのですが良い買い物でした。 ![]()
この香水は普段使いに本当にお勧めです。可憐で清潔感があってさりげなくお洒落。お色気皆無なので学校やオフィスもOKです。確かにトップは重めでインパクトありますが、すぐに飛ぶので私は出かける30分前に付けて調整しています。ミドル〜ラストはお花とココナッツが儚い感じで香り、私の場合は最後に苦味が残ります。このココナッツはいわゆる南の島のココナッツではなく、人工的な都会のリゾートのココナッツなので、開放感は感じられないけれど、それゆえ洗練されたアーバンなイメージなのだと思います。まさに半身に兵器を仕込まれた二階堂って感じで、ドキドキしてしまいます。
TOP:二階堂って狂暴で苦手... MIDDLE:あれ?意外と可愛いとこあるんだ...え?なんかかっこよくない? LAST:やだ、好きになっちゃった... ![]()
ワンプッシュすると柑橘の刺激に重たい甘さ、気付けばそこは五稜郭だった。北海道を舞台に金塊を巡る争奪戦。それぞれが喪失を乗り越え、前に進みながら「役目」を見つけるストーリーでもある。その中で二階堂だけは喪失と向き合ったまま一歩も動かない。前に進む事を拒絶して、ひたすら亡くした弟の幻影を追う。彼には過去の物語も、未来へ続くストーリーも、大義や信条もない。ファンタジーの世界でひとり、生身の人間として兄弟を失った悲しみに真っ正面から対峙し、「洋平を返せ!」と叫ぶ。手足を無くそうと精神の安定を失おうとお構いなしだ。天から下ろされた役目?そんなもんクソ食らえ!「洋平を返せ!」で駆け抜けて行ってしまった。
次第にジャスミンとラベンダーがココナッツと交わりながら優しく静かに香り始める。人はなぜ喪失を乗り越え前を向くのか?それはその方が楽だからである。それともう一つ、そうするのが正しいと周りが言うからだ。そうやって自分の心に蓋をして、悲しみを無かったことにして生きる事を「大人」と呼ぶ。二階堂はそれをしなかった。それを幼い甘さのココナッツと称するのなら、なんと壮絶なココナッツだろう。見え隠れするハーブの苦味は不器用な彼がもがき苦しみ生きた証だろうか。しかし彼は自分の人生は自分で決め、周りの仲間も読者も置き去りにして何も背負わず何も残さず、一人で決着をつけてしまった。そして霞みの向こうの幻影を掴んだ。 二階堂は自分に正直に生きたが為に多くを失ったが、私の失ったものを全て持っているようにも思う。この香水は彼の残した道標。4時間程たつとまったり甘い香りに、ここは静岡だろうか?浩平と洋平が笑っている。本当に大切なものをはなあに?って問い掛けてくる。 ![]()
つけたてはベルガモットの爽やかさが、クールでドライな初期の二階堂を思わせます。それは次第にココナッツベース+ジャスミンのスッキリした甘さの、上品なお香やホテルの石鹸のようなパウダリーで清楚な香りに変化します。ここのミドルが本当に素晴らしく、季節や湿度、体温によって甘さやビターさが入り混じり、まっすぐで復讐に一途な浩平、任務の時はお仕事キッチリで優秀な兵士である浩平、度重なる欠損にも必ず前線に戻って来る頑張り屋の浩平...作中の彼の活躍が次々押し寄せてきます。最後にバニラも加わり、気付けば甘い夢心地の中「また会えたね」の再会の場面が...いつまでも二人仲良くね、大好きだよ二階堂!ありがとう。
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高温多湿な季節の始まりに兎に角甘いという前評判を少々不安に感じながら購入しました
スッキリとしたボトルデザインは隠れオタクでも問題なく持てそう 手首にワンプッシュしてみると甘いというよりはケミカルな粉っぽさ 無果汁のみかんジュース、もしくは駄菓子っぽい香り この駄菓子よく洋平と一緒に食べたよと笑う二階堂の疲れた笑顔が目に浮かびます 一方で奥にピリッとした刺激の薬品臭があり、痩せた体に強力な薬物が打ち込まれている不穏さを感じさせます だいたい2時間ほどで最初の薬品臭が薄まり自然の柑橘のようなキラキラとしたジャスミンの香りが漂います 二階堂の故郷のみかん畑を二人で散歩しているかのような清々しさ 有坂閣下から義手義足をいただいたとはいえ早すぎる復帰は心身に相当な負担をかけているはず 今すぐにこの薬品臭漂う病院から連れ出して故郷静岡で静養させたい そう思わずにはいられません しかしやがて甘いココナッツの香りに変化します つけすぎなければ甘い夢のような香りですが、一方で辛い現実から目を背けてまどろむケシ畑の夢のようです ただただ甘く抜け出せない夢 おやすみ二階堂 残り香は甘く、しかし柑橘の苦さを胸に残す香水でした
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